吹上観音の由来
観音さま、観音菩薩
菩薩とはインドのことばで「人々を救う人」という意味です。
ですからお地蔵さまも菩薩ですし、未来の仏として有名な弥勒さまも菩薩です。
人々を救うという点では、人を救わない仏さまはいないわけですから、みな仏さまは菩薩ということになります。
菩薩とは人を救うためにわざわざこの世に現れて、最後の一人を救いきるまで、救済をつづけてくれる方ということです。
菩薩が長い髭を伸ばし、美しい着物を着て俗人の姿をしているのはこのためです。
つまり菩薩は、人々を救うために最もふさわしい姿で現れるのです。
ですから、この世の仏さまということになります。観音さまは、こうした菩薩を代表する仏さまといえるのです。
観音さまは、世の中のできごと【音】を何でもよく観ていてくださるというから「観世音」ともいいます。
もちろんただ観ているだけでなく、救ってくださるお方ですから「観自在」とも呼んでおります。
もう一つ大事なお名前で、観音さまのことを「施無畏」と申します。
これは観音さまをお祈りすれば、どんな畏れも無くなる無畏を施して下さるのです。
怖いことは無くなるということで、お経【大仏頂経】には、十四の畏れが無くなることが詳しく説かれています。
観音さまの功徳
中国からインドへお経を取りに行った、玄奘「三蔵法師」という偉いお坊さんも、砂漠の途中で病気になったり、災難に見舞われたりした時には、一心に観音さまを拝んで助かっております。
それらの災難はみな、十二、十三の災難のどれかです。
玄奘さんは後に、観音さまのお経ともいえる「般若心経」を中国語に訳しておられます。
みなさんも心配事や災難にあったときには、この「般若心経」の【ギャーテー ギャーテー ハーラギャーテー ハラソウギャーテー ボージソワカ】という ご真言をお唱えになったことはありませんか。
必ずや心が静まって、観音さまが助けて下さいます。
観音さまは、われわれの災難や悩みを救って下さる、大慈大悲【大きな慈悲】の仏さまですから、どんなお願いをしても差し支えありません。
人の悪事や災難を願うことは、もちろん許されませんが、そうでなければ、いつでも、どこでも観音さまは人々を救って下さるのです。
「安寿と厨子王」のお話では、厨子王丸のひたいに付けられたヤケドまで、観音さまが代わって受けておられるほどです。
観音さまは千の手、千の眼があるといわれる千手観音をはじめとして、六観音、七観音、八観音、三十三観音、四十観音など大勢のお姿【化身】のお仲間がいて人々を見守って下さっています。
東明寺吹上の観音さまは、【聖観音さま】です。
近くの方も遠くの方も、縁深き観音さまのお力を念じて、心を安らかにし、自他共みなさんの幸いを祈りたいものです。